RC造の住宅に住むメリット・デメリットは?耐火性についてのQ&Aも紹介!
現在はS造やSRC造、木造など多種多様な建築様式が立案され、さまざまな建物の建築に導入されています。
そして数ある建築様式の中でも優れた耐火性を持つ様式がRC造で、中高層のマンションや事務所などで多く利用されている建築様式です。耐火性に優れているRC造ですが、実際の内容について詳しい方などは少ないのではないでしょうか。
そこで本記事ではRC造の住宅に住むメリットやデメリットについて詳しく解説を行い、耐火性に関するQ&Aなども紹介していきます。
日本における火災被害の件数
2021年に消防庁が発表した「火災統計」によると、1年間の総出荷件数は35,222件にものぼり、火災による総死者数は1,417人に推移しています。このデータをもとにして計算すると、1日につき96件、15分に1件に火災が発生したことになるのです。また火災による費用的な損害額は1,042億円にもなります。
耐火性能の高い住宅に住むメリット
RC造のような耐火性能が高い住宅に住めば火災に対する万全の備えができますが、それ以外にも数点のメリットがあります。では耐火性能の高い住宅に住む具体的なメリットについて詳しく解説をしていきましょう。
防火地域に建築可能
防火地域とは都市計画法で「市街地における火災の危険を防除するため定める地域」と指定されるエリアのことです。一般的に建物が密集した地域や駅前、主要幹線沿いなどの人通りが多い地域を指します。このような地域に建物を建築する場合には一定の条件をクリアーしなければいけません。
ちなみに耐火性能の高いRC造は防火地域に建物を建築するための基準をクリアーしており、人通りの多い防火地域にも建築可能な点もメリットです。
火災保険を安く抑えることができる
一般的に木造タイプのような燃えやすい住宅では火災保険の支払金額が高くなってしまいます。一方火災に強いRC造タイプでは耐火性が高く、火災による損害も最小限に抑えられることから火災保険も低価格に抑えることができるのもメリットです。しかし木造建築と比較してRC造は建築費用などの絶対額が高くなる点も理解しておきましょう。
もらい火しにくい
木造住宅のような耐火性の低い建築様式に住めば、もし隣が火事になってしまえば「もらい火」によって自宅も火災に巻き込まれる可能性も高くなります。一方でRC造のような耐火性に優れた住宅の場合は、隣近所が火災に遭ってももらい火しにくいのもメリットの1つです。特に都市部などの密集地では隣近所との距離も短くなり、距離の短さに伴って火災時のもらい火の可能性も高くなるので、耐火性に特化したRC造がおすすめといえます。
耐火性能の高い住宅に住むデメリット
RC造のような耐火性能の高い住宅に住めば、多くのメリットがありますが同時にデメリットも数点発生します。では耐火性能の高い住宅に住むデメリットにはどのような点が挙げられるのでしょうか。
建築費用が高くなりやすい
RC造では梁や柱、壁などを建築する際には鉄筋工事や型枠工事、コンクリート工事など複数の工事が必要になります。当然ながらこのように工事が複数の工程で組まれれば、人件費や必要な材料なども増えて費用が高くなりやすいのがデメリットです。しかし今後のメンテナンスの容易性や耐久性の高さから考慮すれば、妥当な金額ということも認識しておきましょう。
間取りが制限される
耐火性能に特化したRC造は木造などと比較して頑丈な作りであるが故に、一部取り壊しでも費用が高くて部材も高額です。したがって基本的に増改築が難しく、現状の間取りからの変更も大変なので、間取りが制限されてしまうのもデメリットの1つです。このような観点からも今後の将来設計を見据えた場合に、建て替えの可能性も出てくるのであればRC造はおすすめできません。
建物における「耐火性能」の基準
耐火構造の種類は「建物の種類」「共同住宅か否か」「法令上の建物の耐火性能」などを基準として区別されます。そして建物における耐火性能の基準は、「建築確認申請書」の第四面に記載されている「耐火建築物」「準耐火建築物」の項目を参考にすることで明確になります。もし建築確認申請書が入手できない場合には、施工者やハウスメーカーに問い合わせて設計仕様書や設計図面、住宅性能などを示す資料を請求するのもおすすめです。
RC住宅の耐火性におけるQ&A
RC住宅は優れた耐火性を持つ高機能な住宅ですが、自宅の建築様式として導入するのであれば色んな疑問点も浮かんできますよね。そこでここからは、RC住宅の耐火性におけるQ&Aを紹介していきます。
建物における耐火性の確認方法はあるの?
建物の外見を見て木造かコンクリート造りかどうかの違いで耐火性の大まかな判別はできます。しかし、確かな耐火性能を持つ建物(耐火建築物・準耐火建築物・省令準耐火建築物)であるかどうかの明確な判別は簡単ではありません。したがって明確な基準で耐火性を確認するのであれば、建築確認申請書を参考にするのがおすすめです。
RC住宅の間仕切り壁
RC住宅の間仕切り壁の仕様は、外壁や柱から伸びている壁などに関しては鉄筋コンクリートでなければいけませんが、それ以外の壁は木造やコンクリートブロックなどでも対応可能です。一方で住宅の全ての壁をRC造にすれば施工が困難になるので、100㎜程度の壁厚を検討して作図を行い、木造やコンクリートブロックの間仕切りを利用するのもおすすめといえます。
まとめ
RC造は建築様式の中でも耐火性に優れているので、自宅の建築に導入すれば火災時の被害を最小限に抑えることができます。また自宅をRC造で建築することで、駅やショッピングセンターなどが立ち並ぶ防火地域にも自宅を建てることができて便利です。現在マイホーム購入を検討しているのであれば、優れた耐火性と利便性を兼ね備えたRC造の住宅の購入を検討してみてはいかがでしょうか。